シックハウスの問題が依然なくならない昨今、現在一般的に普及している住宅の断熱方法は、壁の中に5cm幅のグラスーウールの断熱材を入れていく方法で、この断熱の工法は内断熱工法と言われています。
日本の住宅は今迄、この内断熱工法という工法で日本国内全体の99％を、この工法で高断熱へと普及してきました。家によっては、この断熱材を5cmではなく、10cmにして高断熱住宅として建てている工務店や住宅メーカーもあります。北海道地方は、10年程前まではまさしく寒いところですので、断熱を高め普及していき、一般消費者からも望まれ、高断熱、高気密住宅へと競って家を建てた結果、築2年しか経たないのに壁の中が黒かびで腐ったり、ある家では2階部分を支えている梁が腐り、二階の床が抜けて落ちたという事実があるとあるいうふうに専門家の本にも書いてありました。埼玉県でもあるお宅が築2年と半年で屋根裏が腐ってしまったというケースが多々、聞くようになり、9年前程の日本経済新聞にツーバイフォーのお家が結露が原因でまだ築2年なのに家が腐ってしまったという記事がでました。これは、内断熱工法を採用した工法で断熱を高めれば高めるほど、家の中の温度と外の温度差12度以上差があると湿気が結露になってしまいます。壁内結露が原因で壁の中の木材や柱が腐ったり、結露が原因でカビが繁殖してしまい、家の老朽化が早くなってしまうのです。
マンションに長く住んでいるいる人は、経験していると思いますが、よく、天井とか壁にカビがついたり、お風呂の中はすぐにカビだらけになると思います。これは、マンションはコンクリートの塊りでましく、高断熱で高気密ですので、湿気が家の中に充満し、冷えた、天井、壁やお風呂で冷やされて結露になり、カビが繁殖をするのです。

■Point.1ーカビの菌の怖さ
ある地方都市で、坪80万円で尚かつ屋根裏に家の中の空気を強制循環させていました。その家を建てたお施主の奥様がアトピーでアレルギー体質なので、少しでもカビの菌があると症状が悪くなるという状況でしたので、奥様でも快適に過ごしたいということから、有名住宅メーカーに頼んで注文建築を建てました。しかし、シックハウスになるような建材を使用していないのに、どうしてそうなるのかわからなかったご様子でした。
その住宅メーカー自身が内断熱工法によって結露がでて、カビの菌が繁殖するということを把握していないというか、今迄、この工法で建ててきてクレームがでてないですし、当り前のように20年も30年も住宅を建ててきて、「お客様に信頼されている」と、仕事に対し慢心であった理由、由縁だと思います。そういう工務店が本当に日本には多いようです。カビは本当に怖い存在です。ぜん息や気管支炎、ちょっとした風邪、肺炎による死亡、カビの菌による原因が多いのです。アスベストのような発癌性物質は使わないようにすればいいのですが、根本的な住宅を建てる基本的な家族の健康を守る家にしなければなりません。

■Point.2ー結露発生の現状
少しでもコストを下げて、低い受注金額でも利益がでるような仕様を重視しているため、結露やカビの問題を最重要視していないケースが多く、「結露がでるような家を作っていない」という意識でいる工務店が殆どです。その結果、「20年経って、結露とかカビがでてないのでそういう心配は、しなくてもいいのでは？」と思っていている人でも家族が喘息やアレルギーの家族がいて、それが、カビの菌が原因できていることも、知らないでいる方が多いようです。今まで、増改築工事をしている家を検証してみますと、築4年〜5年の家でも壁内を見ますと、すべてカビだらけといった家が殆どです。今は、壁の内部にカビがでていても、内側から外に露出しにくい壁紙を使用していますので、壁の内部に結露がでてカビだらけになっていても目に見えてこないという欠点があります。
勿論、結露がでない断熱の仕方もあります。アメリカやヨーロッパでは、当り前のように普及しており、アメリカの家は、平均寿命200年、ヨーロッパの平均は100年から150年で、ドイツでも平均80年が住宅の寿命です。日本は、30年から40年が寿命で早いもので15年しか経っていないのに、壊して建て替えているケースも多いのが現状なのです。